サイト内検索

ECサイトのリニューアル・データ移行時の注意点をわかりやすく解説

2024年3月29日
RENEWの文字が入ったトップ写真

ECサイトの運営が軌道乗ってくると流入数や購入数の増加、商品点数の増加など、オープン当初のシステム要件と運営条件が合わなくなりさまざまな問題が発生します。そのタイミングで乗り換え(リニューアル)を検討するケースも多いでしょう。しかし、安易にリニューアルに取りかかってしまっては、失敗に終わる可能性を高めてしまいます。

そこで今回は、ECサイトのリニューアル時に注意しておきたい点を紹介します。ECサイト移行前に確認しておくべきことやデータ移行に関する注意点を解説するので、ぜひリニューアル時の参考にしてください。

なお、現在、ASPカートを利用している場合は、別記事にてASPカートを切り替える場合の注意点についてまとめていますので、以下の記事を参考にしてください。

ECサイトのASPカート切り替えの手順は?移行先の比較ポイントや注意点を解説

ECサイトの乗り換え(リニューアル)を行うタイミング

whenと記載されたブロックの写真

まず乗り換えのタイミングが今なのかどうかを確認していきましょう。ECサイトの乗り換えを行う主なタイミングは、次のとおりです。

  • システムが老朽化した
  • 売上が低迷している
  • セキュリティ面に問題が出てきた
  • 機能を追加したい
  • カートシステムのサポートが不十分
  • 企業やブランドイメージを一新したい

上記のような問題を抱えていると必要以上に業務コストがかかったり、必要な施策や分析が行えなかったりします。この結果、売上が低迷することも考えられるでしょう。

また、セキュリティ面においては個人情報流出など、会社の信用を落としかねない問題に発展する可能性があります。そのため、このようなケースが当てはまる場合は、早急にECサイトのリニューアルを検討する必要があります。

ECサイトの乗り換え(リニューアル)の手順

Stepのイメージ写真

ECサイトの乗り換えは次の手順に沿って行います。

ECサイトの作り方手順のイラスト

まずはリニューアルする目的を定め、その目的に合ったページの構成や実装する機能などの要件定義を行います。リニューアルによってユーザーが使いづらいサイトになっては意味がないので、要件定義を行う際はユーザー目線を忘れないようにしましょう。

次に要件を満たせる移行先を選定します。ECサイト制作サービスは数多く存在しているため、選定が難航する可能性があります。スムーズに選定するためには「目的を達成できるか」「長期的に使用できそうか」など、譲れない基準を設定するのがおすすめです。

移行先が決まったら、デザイン制作に入ります。売上を左右する要因の一つであるデザインもユーザー目線を徹底しましょう。デザイン制作が終わったら、データの移行と各種設定を行います。オープン前には必ずテスト運用を行い、できるだけ事前に問題をなくし、改善できる箇所は改善しておきましょう。

なお、ECサイトの乗り換えを、ネットショップ制作専門サービスに委託して行う場合の手順は、以下のとおりです。

ネットショップ制作専門サービスを利用する場合の手順のイラスト

まずは、自社のニーズや予算に合った制作会社を選びます。次に、制作会社との契約を締結しますが、契約内容には、制作費用、納期、保守サポートなどが含まれます。

契約締結が済んだら、打ち合わせを経て、制作会社がサイト設計と実装を行います。制作会社からサイトのプレビューが提出されるので、確認し、テストや修正を行いましょう。その後、制作会社がサイトの公開を行います。

ネットショップ制作専門サービスを利用する場合、専門知識や技術を持ったプロに任せることができるほか、制作会社がサイトの運用や保守をサポートしてくれるので、安心してサイトを運営できる点がメリットです。専門サービスを利用することで、効率的にECサイトの乗り換えを行うことができるでしょう。

ECサイト引っ越しの移行方法を解説!乗り換えの手順とポイントについて

ECサイトの乗り換え(リニューアル)前に確認すること

ECサイトの仕事をしている人の写真

ECサイトの乗り換え前には、次の8つのポイントを確認しておきましょう。

  • 現状の課題分析や乗り換え後の目標
  • 乗り換え後の改善・変更点
  • 必要な機能サービスの洗い出し
  • 連携する外部システム・ツール
  • サーバスペック見直し可否
  • 乗り換えを自社で行うか委託するか
  • 各サービス・作業に関する費用の洗い出し
  • 余裕を持ったスケジュールになっているか

上記のポイントを確認し、乗り換え業務に関係する人に周知することで共通認識が持てれば、方向性がブレることなく乗り換えを成功させられるでしょう。

現状の課題や乗り換え後の目標

せっかく費用と労力をかけてECサイトの乗り換えを行ったのに、旧サイトにおける課題がまったく解決しなかったとなると乗り換えの意味がありません。骨折り損のくたびれもうけになるので、「なぜ乗り換えが必要なのか」「何のために乗り換えるのか」の課題とその原因を把握し、切り替え後の目標を明確にする必要があります。なお、目標は、数字を用いて具体的に決めるようにしましょう。

【乗り換えによる目標の例】

  • 10%ずつ段階的に売上を伸ばし、2年後には現状の5倍を目指す
  • カゴ落ち率を10%減少させる
  • アクセス数を現状の20%増、購入率を現状の10%増

具体的な目標を掲げずにリニューアルに手を付けてしまうと、改善どころか改悪になることも考えられます。また、具体的な目標はプラットフォームの選定やデザイン制作、機能の選定など、ECサイトの乗り換えにおける各工程の軸となります。そのため、まずは現状課題の把握と、乗り換え後の目標を設定し、関係者に共有しておきましょう。

乗り換え後の改善・変更点

リニューアル後の目標を達成するために、どういった改善・変更を行うのかも明確にしておきましょう。それによって予算や移行までの期間などが変わってきます。改善や変更点の例には次のようなものがあります。

【乗り換え後の改善・変更点の例】

  • SEO設計
  • システムのアップデート・機能の追加
  • 支払方法の拡充
  • セキュリティ面の強化

改善や変更は目的にあった方法を選択しましょう。そのためにはやはり現状課題の把握と乗り換え後の目標設定がキーポイントになってきます。

連携する外部システム・ツール

ECサイトの乗り換えにEC構築パッケージやフルスクラッチを選択する場合、ECサイトとしての機能を持たせるために物流管理システムや基幹システム、決済システムなど、複数の外部システムやツールと連携させるのが一般的です。

当然ですが、連携するシステムやツールの数が増えれば増えるほど開発コストは高騰します。そのため、リニューアルのタイミングでシステムやツールの要不要を検討したり、BASEやShopifyのようなパッケージサービスを活用したりしましょう。いずれのシステム・ツールも必要な場合は優先順位を付けておくことで大幅な予算超過を防止できます。

サーバスペック見直し可否

アクセス数や受注数の増加によるトラフィック処理速度の改善などにおいては、サーバスペック(性能)を見直す必要があります。また、リニューアルを行う目標にアクセス数・受注数の増加を掲げる場合、現在のサーバでは対応しきれないケースもあります。こうしたケースでもサーバスペックの見直しが必要です。

スケールアップするのか、もしくはアクセス数の増減負荷に応じてサーバの台数を自動的に変更するオートスケールにするのかによって選択するサービスは変わってきます。サービスによっては特有の利用制限を設けている場合もあるので、リニューアル後の目標や要件などに適したサービスを選択しましょう。また、BASEやShopifyのようなパッケージサービスでは、自社でのサーバが不要な場合もあります。

システムを安定的に稼働させるためのメンテナンス作業を行うサーバ保守管理体制も変更の必要性がでてきます。システムベンダーによってサービス内容や質が異なるので、リニューアル前に依頼していたベンダーと同等レベルで実施してくれるかを確認しておきましょう。

乗り換えを自社で行うか委託するか

ECサイトのリニューアル作業は自社で対応するのか、外部のシステムベンダーに依頼するのかの2択があります。社内にECサイトの構築・移行に関する知見を持つ社員または専門部署がある場合は、コスト面から見ても自社での対応が望ましいでしょう。しかし、そうした人材や部署を持つ会社は多くありません。そのため、基本的には外部のシステムベンダーに依頼するの現実的な選択肢となるでしょう。

乗り換えにかかる費用にはシステム利用料、デザイン料やデータ移行料などがありますが、乗り換えの目的によって手を加える箇所や数が異なるため、発生する費用もまちまちです。コスパ良くECサイトの乗り換えを実行するためには、事前に費用を洗い出したうえで、自社対応するのか、外部委託するのかを検討しましょう。なお、見積りを取る際には3社以上に依頼するのがおすすめです。相場が分かるうえに、価格交渉の材料として活用できます。

余裕を持ったスケジュールになっているか

ECサイトのリニューアルには半年から1年程度かかるのが一般的です。自社で行う場合は、通常業務と並行して行うことになるため、業務負荷が高くならないよう余裕を持てるスケジュールを組む必要があります。

外部に委託する場合でも無理なスケジュールを組んでしまうと欠陥の多いサイトができあがり、修正が終わらないことになりかねません。修正に応じて費用を請求されるケースもあるので、修正がありきで余裕のあるスケジュールを立てるようにしましょう。

ECサイトの商品データ移行における注意点

ECサイトのイメージ画像

ECサイトのリニューアル時には商品データの移行も必要です。商品データを移行する際には次の点に注意しましょう。

  • 新旧サイトでの商品データの項目の違いを確認する
  • 旧サイトの画像を一括ダウンロードできるか確認する
  • 新旧サイトの画像サイズの違いを確認する
  • 新旧サイトの画像ファイル名の違いを確認する

新旧システムで仕様が異なることがほとんどなので、保持しているデータが多ければ多いほどデータ移行作業は大変さを極めます。そのため、特に移行までに期間が設けられない企業においては、「できるだけスムーズに移行作業を終えられる」点を重視して移行先の新システムを選ぶことも検討しましょう。

新旧サイトでの商品データの項目の違いを確認する

システムが違えばデータベースに保存されている情報や項目も異なるため、データの移行作業が難航するおそれがあります。この場合、まずは旧システムから新システムと共通する情報・項目のデータだけを抽出し、新システムに移行します。情報・項目の異なるデータに関しては個別に手作業で入力していきます。手入力が必要なデータの数が多く対応が困難な場合は、移行データの項目を絞ることも検討してみましょう。

旧サイトの画像を一括ダウンロードできるか確認する

多くのECシステムは商品画像の一括ダウンロードが可能ですが、仕様によってはできないケースもあります。この場合はシステムベンダーに依頼して画像を一括ダウンロードしてもらいます。万が一、システムベンダーに対応を断られた場合は、商品画像を1点ずつ地道にダウンロードすることになるので、移行期間には余裕を持たせるようにしましょう。

新旧サイトの画像サイズの違いを確認する

商品画像やヘッダー画像などをはじめ、旧サイトで使用している画像を新サイトでそのまま使用できるとは限りません。なぜならシステムによって採用されている画像のサイズが異なる場合があるからです。

少しの差異であれば一括でトリミングすることで対応できますが、一括での処理が難しいほどの差異がある場合は新サイトの既定サイズに合わせて修正するか、新たに画像を用意しなければいけません。この作業には大幅な手間がかかるため、画像サイズを移行先のECシステム選びの条件の一つとするのもおすすめです。

新旧サイトの画像ファイル名の違いを確認する

ECサイトの画像を移行する際にはファイル名も移行先の新システムが指定する形に変更を求められます。この作業は基本的にはECサイトを運営する事業者が行います。しかし、システムベンダーのなかにはファイル名の入れ替えにも対応してくれる会社もあるため、リニューアルをシステムベンダーに依頼する場合は確認しておくと良いでしょう。

ECサイトの顧客データ移行における注意点

パソコンで作業をしている人の写真

ECサイトの乗り換え時には顧客データの移行も必要です。顧客データ移行時の注意点は次のとおりです。

  • 新旧サイトでの会員情報の書式の違いを確認する
  • 休眠顧客・解約済み顧客のデータを移行するか決める
  • 個人情報の取り扱いに関する規約の変更を周知する
  • 顧客のパスワード・クレジットカード情報は原則移行しない

顧客データは個人情報の塊です。取り扱いを間違えれば、一気に会社の信用を落とすことになります。そのため、移行の際には一層の注意を払い、間違っても漏えいしないようにしましょう。

新旧サイトでの会員情報の書式の違いを確認する

画像データと同じく、顧客データも新旧システムで書式が違うことがあります。たとえば文字数制限や全角・半角、環境依存文字などです。新システムに移行したことで入力規則の幅が増える場合は大丈夫ですが、文字数の上限が下がったり、環境依存文字が使えなくなったりすることもあります。事前に分かっていればいくらでも対策が取れるので、事前の確認を怠らないようにしましょう。

休眠顧客・解約済み顧客のデータを移行するか決める

ECサイトの会員数が多ければ多いほど、顧客データの移行には手間がかかります。特に修正が必要なデータが多いほど工数は増えるため、移行するデータの範囲の縮小を検討する必要があります。その際の切り捨て候補として有力なのが、休眠顧客や解約済み顧客のデータです。

ただし、休眠顧客においては過去に購入経験があるだけにアプローチの仕方によっては再度、顧客になってくれる可能性があります。判断に迷うところなので、こうした点も含めてデータ移行の際に休眠顧客・解約済み顧客のデータの取り扱いをどうするか決めておきましょう。

個人情報の取り扱いに関する規約の変更を周知する

会員情報の取り扱いを外注しており、ECサイトの移行に伴い運用代行会社を変更する場合は、利用規約などに記載している会社名も変更しておきましょう。しかし、定期的に利用規約を読み返す人はそれほど多くないため、これだけで周知するのは難しいところです。

また、大切な個人情報を扱うことから、運用代行会社の変更についてユーザーからの同意も必要です。そこで移行前のECサイトで注文画面や会員ページに個人情報の取り扱いについての説明を表示し、同意するかどうかを確認します。さらにそこで同意が取れたユーザーの顧客データのみを移行すれば、個人情報の取り扱いもクリアできます。

顧客のパスワード・クレジットカード情報は原則移行しない

一般的にパスワードは暗号化されており、文字列を抽出するのが困難であるため新サイトへの移行はしません。なお、認証ロジックを引き継げば、パスワードの移行は叶います。しかし、システムベンダーの協力が求められるため、ハードルが高く、この選択をするのは現実的ではありません。

また、決済代行サービスを利用している場合、クレジットカードの情報は決済管理代行会社によって管理されています。移行に伴いクレジットカード会社を変更する場合であっても個人情報の取り扱い上、クレジットカード情報の移行はできません。

まとめ

ECサイトのリニューアルには確認項目も多く、対応が漏れてしまうこともあります。リニューアル後に気づいても対応できない、もしくは対応が難しいこともあるので、本記事で紹介したような注意点を含め、チェックリストを用意しておくのもおすすめです。リニューアルには費用も手間もかかるため、できるだけスムーズに移行できるように事前準備を徹底してから挑みましょう。

お問い合わせ

ご利用申込、見積依頼、その他サービスに関するご不明点は、
お気軽に、お問い合わせください。

alt
時間のない方におすすめ!
資料
ダウンロード
ご利用申込・
ご相談フォーム
閉じる
閉じる