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少子高齢化によりどの業界でも人材不足が深刻化しています。なかでも小売業界は、全業界のなかでトップクラスに人材が不足している業界です。そこで今回は、小売業界の人材不足の現状と、人材不足解消のための対策方法を解説します。
【統計あり】小売業界は人手不足の傾向
参照:厚生労働省|一般職業紹介状況(令和5年11月分)
昨今、少子高齢化による人材不足への取り組みが急務となっています。小売業界も例外ではなく、医療・福祉、サービス業に次いで新規求人数が多くなっており、人手不足が深刻化している業界の一つです。
厚生労働省の「一般職業紹介状況(令和5年11月分)」によると、令和5年11月時点における小売業の有効求人倍率は前年同月比で-6.5%(2022年11月13.0%)になっています。新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行に伴い、人手不足は改善傾向※にあります。
※有効求人倍率は、企業がハローワークにエントリーする仕事の数(有効求人数)÷働きたい人の数(有効求職者数)で算出
しかし、厚生労働省の「雇用動向調査:結果の概要」によると、例年、小売業界は入職者数および離職者数がともに上位であり、このことから定着率の悪さが伺え、小売業界は人手不足が常態化していることが分かるでしょう。
小売業界の人手不足が深刻化している主な理由には「低賃金」、「長時間労働」、「休日が取りづらい環境」、「人間関係のトラブル」などがあります。人手不足を解消するためには、これらの条件・環境の改善が求められます。
小売業の人材不足を解消するための見直しポイント
小売業の人材不足を解消するためには、次のような見直しや検討が有効です。
- 労働環境の見直し
- 求人広告の内容や求人方法
- シニア世代や外国人労働者の採用を検討
- テクノロジーの活用で業務効率化を検討
方向性としては人を増やすか、業務効率化・省人化を図り少人数で対応するかの2つでしょう。理想を言えば、両面から対策を取れるのが最善です。しかし、導入費用や工数がかかるため、一気に取り組むのではなく、取り組みやすそうな項目から着手してみましょう。
労働環境の見直し
小売業では、長時間労働や過度な連続勤務、シフト制による休日の取得しづらさが問題になっています。こうした「働きたくない環境」を改善することで、人材流出の防止や新たな人材確保が叶います。
たとえば習慣化している業務のなかには「習慣だから」続けているものもあります。昔は必要性があったかもしれませんが、時代とともにその必要性が低くなっているものは業務効率の悪化を招く要因となります。無意味に業務負荷が高くなり、生産性も落ちるため、今一度、業務に無駄がないか洗い出しましょう。
さらに1回の勤務が長時間に及ぶ場合は、早出・遅出の交代制を導入することで、従業員の心理的・身体的負担の軽減に繋がるでしょう。
【具体的な施策案】
- 業務の無駄削減
- 交代制の導入
- 事務作業の省人化
- 教育体制の整備
- 有給休暇の取得促進
求人広告の内容や求人方法を見直す
求人を出す際、業務内容に対して給与などの待遇が悪いと人は集まりません。逆に言えば、業務内容と待遇の均衡が取れていれば、人が集まるうえに継続して働いてくれる可能性が高まります。また、雇用形態を見て応募するかどうかを判断する求職者もいるため、雇用形態においても柔軟な考え方を持つことで大切です。
SNS運用を行っているのであれば、求人媒体だけでなくSNSでの採用活動も視野に入れてみましょう。無料で利用できるうえに拡散力のあるSNSを利用すれば、コスパの良い採用活動が叶います。SNSであれば気軽にコミュニケーションが取れるため、企業にとっても求職者にとっても採用ミスマッチを防ぎやすいでしょう。
また、「明日の12時から16時の間で人が足りない」など、スポットで人材を補充したい場合は、スキマ時間で働きたい求職者と、特定の時間だけ働ける求職者を探している企業のマッチングサービス「タイミー」の活用もおすすめです。
【具体的な施策案】
- 求人の業務内容と給与を見直す
- 雇用形態を柔軟にする
- SNS採用を取り入れる
シニア世代や外国人労働者を採用する
求人を出す場合、15~64歳の生産年齢人口に着目しがちです。しかし、近年では身体的にも精神的にも元気な高齢者が多くいます。厚生労働省の調査によると約4割が「65歳を超えても働きたい」と考えていることが分かっているため、シニア世代も積極的に雇用することで人材不足を解消できるでしょう。
また、政府も受け入れ拡大を推進している外国人労働者も人材不足解消の一助となる存在です。年齢や国籍に捕らわれずに採用を行うことで人材不足の解消につながる可能性が高いため、雇用の幅を広げることも考えてみましょう。
テクノロジーの活用で業務を効率化する
人材不足の解消方法には、AIやIoT技術を取り入れ業務効率化や省人化を図ることで、そもそもの必要人数を減らすという方法もあります。具体的にはセルフレジによるレジ業務の省人化や、AI技術による在庫管理や自動発注の効率化などが挙げられます。
導入時の初期費用はかかりますが、テクノロジーの活用により省人化が図れれば、業務効率化だけでなく人件費の削減やヒューマンエラーの低減もできるため、メリットの多い方法といえます。
【具体的な施策案】
- セルフレジの導入
- AI技術の導入
人材不足の小売業を日本郵便がサポート
人材不足を解消する手段として、一部業務の外注化もおすすめです。特に物流業務は作業負荷が高く、コア業務を圧迫する要因となります。一部でも物流業務をアウトソーシングすることで、従業員の負担が軽くなり、労働環境が改善されれば離職率の低下が見込めるでしょう。
日本郵便の物流ソリューションでは、全国を網羅する郵便・物流ネットワークの強みを活かして物流商品の保管、ピッキング、流通加工などの物流課題に沿った解決策をご提案します。
物流業務の丸投げはもちろん、物流業務の一部のアウトソーシングも可能です。また、短期間や小ロットでの委託も受け付けています。さらにピッキングや検品の作業ミスを軽減したいといった、より細かな物流課題の相談にも対応しています。
人材不足により業務負荷が高くコア業務に集中できない、ミスが多くて困っているなどのお悩みがある場合は、課題に沿った最適な解決策を提案いたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。
まとめ
少子高齢化による人手不足は、一朝一夕で解決できる問題ではありません。しかし、徹底的な業務効率化やテクノロジーの活用など、解決の手立ては十分にあります。
特に「物流業務の外注化」はすぐにできる方法としておすすめです。物流業務をアウトソーシングすることで、従業員の業務負荷が減り、これまで物流業務に携わっていた従業員は別業務に回せます。これだけでも人材不足に歯止めをかけられるでしょう。
日本郵便では、作業内容や事業規模など、各社の物流課題に応じた最適な解決策を用意しています。創業以来、築いてきた物流ネットワークと物流課題に対応してきたノウハウを駆使して、人材不足解消のサポートを行いますので興味がある方はお気軽にご相談ください。