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インコタームズとは|貿易条件を分ける4つの型と用いる際の注意点を解説

2025年2月6日
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貿易の際に、国際取引の基準として用いられるインコタームズ。インコタームズは、4つの型と11種類の規則を貿易取引の際の費用や危険の分担をアルファベット3文字で表したものです。

当記事では、インコタームズの基礎知識と4つの型、11種類の規則を解説します。ぜひ、貿易取引を始める際の参考にしてください。

インコタームズとは

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インコタームズ(Incoterms)とは、貿易取引において、売主と買主の間で、どちらがどこまでの責任を持つかを明確にするための国際規約です。従来、貿易取引条件の解釈が国によって異なり、誤解や訴訟が生じていました。インコタームズは、こうしたトラブルを回避するために作られたものです。

最新版の「インコタームズ2020」は、国際商業会議所(ICC)によって2020年1月1日から施行されました。

ただし、インコタームズ自体には法的拘束力はありません。取引における合意事項として、契約書に記載する必要があります。

インコタームズを活用することで、貿易の際のリスクが軽減されるため、国際取引の円滑化に寄与しています。

インコタームズで取り決める項目

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インコタームズは、以下の3つの項目を取り決めています。

  1. 売主と買主の費用負担範囲
  2. インコタームズでは、売主と買主が負担する費用について具体的に規定されています。運賃、保険料、通関費用、積み込み・荷下ろし料などの費用負担範囲を明確にして、双方が理解することで、取引時のトラブルを防ぎます。


  3. 売主と買主の役割
  4. 貿易取引をする際に発生する手配や手続きを負担する範囲も、インコタームズに規定されています。運送の手配、保険の手配、輸入許可、輸出許可、書類の準備など、売主と買主の双方がすべきことを明確に定めています。


  5. 貨物引き渡しに関する危険負担の移転タイミング
  6. 貨物の引き渡しに関する危険負担の移転タイミングも規定されています。貨物の輸送中や積み下ろし中に、事故が発生するケースがあるからです。貨物の損害をどちらが負担するのか、その分岐点を定めています。

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インコタームズの条件を分ける4つの型

国際貿易規則のイメージ図

「インコタームズ2020」には、全部で11種類の規則があります。貿易取引の際の費用や危険の分担を、アルファベット3文字で表したものです。

類似する文字列が多いため、覚えにくいと感じる人もいるでしょう。インコタームズは、条件の傾向によって下記の4つの型に分類できます。それぞれの規則を覚える際に活用しましょう。

型の種類 概要 具体例
E型 買主がすべての費用と危険を負担する取引条件 EXW
F型 費用と危険の負担が、あるポイントで売主から買主に移転する取引条件 FOB、FCA、FAS
C型 費用の負担が売主から買主に移転するタイミングと、危険の負担が売主から買主に移転するタイミングが、それぞれ異なる取引条件 CFR、CIF、CPT、CIP
D型 主に売主が費用と危険を負担する取引条件 DAP、DDP、DPU

ここから4つの分類と11の規則を詳しく解説します。

なかでも「EXW」「FOB」「CFR」「CIF」「DAP」「DDP」の6つは使用頻度の高い規則です。まず6つの規則を中心に覚えてみてください。

E型

E型の規則は、買主がすべての工程における費用と危険を負担する規則です。E型はEXWのみを指します。使用頻度の高いインコタームズです。

  • EXW(Ex Works)
  • EXWは、「工場渡し」を意味します。輸出元の工場で商品を引き渡した時点で、売主から買主にすべての負担が移転します。工場から仕向地(納品先)まで、輸送手配と運賃の支払い、通関手続き、貨物に対するリスクを買主が負担します。売主にとって、最も負担が軽い取引条件です。

F型

F型の規則は、費用と危険の負担が、あるポイントで売主から買主に移転する規則です。3つの取引条件があり、特に「FOB」は広く活用されています。

  • FOB(Free on Board)
  • FOBとは、「本船渡し」を意味し、海上輸送に使用されるインコタームズです。売主が輸出通関手続きを完了させ、貨物を本船に積み込むまでの費用や危険を負担します。それ以降の費用と危険の負担は買主に移行します。


  • FCA(Free Carrier)
  • FCAとは、「運送人渡し」を意味するインコタームズです。売主は、買主が指定した運送人、または指定地点で貨物を引き渡すまでの費用と危険を負担し、その後の工程は買主に負担が移ります。指定地点には、工場、倉庫、港、空港など、柔軟な選択が可能です。輸出の通関手続きは、売主が行う点においてEXWとは異なります。


  • FAS(Free Alongside Ship)
  • FASとは、「船側渡し」を意味し、海上輸送に使用される条件です。
    売主の責任は貨物を船積港の船側に並べた時点で終了し、その後の費用と危険の負担は買主に移行します。

つまり売主は、積み込みに関わる責任を負いません。クレーンなど用い、大型の貨物を本船に積み込むような貿易取引に活用される条件です。

C型

C型の規則は、費用の負担が売主から買主に移転するタイミングと、危険の負担が売主から買主に移転するタイミングが、それぞれ異なる取引条件です。4つの取引条件に分かれており、そのうち「CFR」と「CIF」は、使用頻度が高いインコタームズです。

  • CFR(Cost and Freight)
  • CFRとは、「運賃込み」を意味し、海上輸送に使用されるインコタームズです。

売主は工場から輸出先の港までの運賃を負担、買主はそれ以降の運賃を負担します。一方で、危険の負担に関しては、工場から本船の甲板に貨物が積載されるまでが売主の負担になります。買主は、海上輸送を含むそれ以降の危険を負担します。

CFRは、海上輸送の保険料が、買主負担である点も大きな特徴です。

  • CIF(Cost, Insurance, and Freight)
  • CIFとは、「運賃保険料込み」を意味するインコタームズです。海上輸送に使用される条件であり、運賃と危険を負担する範囲は、CFRと同様です。

一方で、CFRとの違いは、海上輸送の保険料が売主負担である点です。売主が海上輸送や、保険の手配に関する詳しい知識を持っている場合にCIFが採用されます。

  • CPT(Carriage Paid To)
  • CPTとは、「輸送費込み」を意味するインコタームズです。CFRとCIF同様、売主は工場から輸出先の港までの運賃を負担し、買主はそれ以降の運賃を負担します。

その一方、危険を負担する範囲が異なります。売主は、運送人に貨物を引き渡すまでの危険を負担し、それ以降の危険負担は買主に移転します。

CPTは、コンテナ輸送の際に推奨されている取引条件です。売主がコンテナヤード内の危険負担を回避するために採用されます。

  • CIP(Carriage and Insurance Paid To)
  • CIPとは、「輸送費保険料込み」を意味するインコタームズです。
    CPTと同様に、売主は工場から輸出先の港までの運賃と、運送人に貨物を引き渡すまでの危険を負担します。コンテナ輸送に推奨される取引条件です。

CPTとの違いは、海上輸送の保険料も売主負担である点です。

D型

D型の規則は、主に売主が費用と危険を負担する取引条件です。3つの条件に分かれており、「DAP」と「DDP」は、頻出します。

  • DAP(Delivered at Place)
  • DAPとは、「仕向地持込み渡し」を意味するインコタームズです。売主は、買主が指定した仕向地までの費用と危険を負担します。

ただし貨物の積みおろしは買主負担となり、売主は責任を負いません。また輸入に関わる税関手続きおよび、関税の支払いも買主が負担する取引条件です。

  • DDP(Delivered Duty Paid)
  • DDPとは、「関税込み、仕向地持ち込み渡し」を意味するインコタームズです。

売主は、買主が指定した仕向地まで費用と危険だけでなく、輸入通関手続きと関税の支払いまで負担します。買主の負担が最も軽い取引条件です。一方で、貨物の積みおろしは、DAPと同様に買主が負担します。

  • DPU(Delivered at Place Unloaded)
  • DPUとは、「荷卸込、仕向地持込渡し」を意味するインコタームズです。

売主は、買主が指定した仕向地まで費用と危険、貨物の積みおろしまで責任を負います。買主は、輸入通関の手続きと税関の支払いを負担します。

インコタームズを用いる際の注意点

インコタームズのイメージ図

実際にインコタームズを用いる際にはどのようなことに気をつければよいのでしょうか。インコタームズの注意点は以下の3つです。

  • 適用させるタームを決める
  • 引渡地・仕向地などを明確にする
  • 最終的な利益の大きさを検討する

適用させるタームを決める

インコタームズは、1936年に制定されて以来、商慣行の変化に合わせて、繰り返し改訂されてきました。加えて、貿易取引は、必ずしも最新タームのインコタームズに基づく必要がありません。

最新の2020を利用するケースは多いものの、適用させるタームの合意形成は必須です。貿易取引の契約書を交わす際は「貿易条件:インコタームズ2020」などと記載しましょう。

引渡地・仕向地などを明確にする

インコタームズを用いる際には、引渡地・仕向地などの取引条件も明確にしましょう。

例えば、引渡地や仕向地を「JAPAN」と記載した場合、詳細が明確でないばかりに、トラブルが生じてしまう可能性があります。ここでは、工場や倉庫の住所を明確に記載することが望ましいといえます。

またインコタームズで合意形成を図りながら、見積もり金額のなかに含まれるサービスを理解することも重要です。輸送、保険、通関にかかる費用などを考慮して、契約を取り交わしましょう。

最終的な利益の大きさを検討する

インコタームズを用いる際には、最終的に自社にとって、利益の大きい取引条件を検討しましょう。

見積もりは、インコタームズを指定して、取引条件に基づき金額を算出します。例えば、すべて売主負担のDDPは、買主にとって魅力的に感じるかもしれませんが、売主が負担する貿易コストは、見積額に加算され、最終的に買主負担になるケースが一般的です。

この場合、買主と売主のうち、フォワーダーとの取引量が多い方が費用を負担すれば、ボリュームディスカウントが働き、有利な条件で取引を進めやすくなります。買主にとって、商品一個あたりの貿易コストをいかに下げるかが利益に直結します。

国際物流は日本郵便とそのグループ会社へ

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国際物流では、インコタームズのような決め事や、各国の規制などを把握し、複合輸送をコントロールしなくてはなりません。貿易が得意でない場合、手配をスムーズに進められない場合もあるでしょう。

JPロジスティクスは、国際物流の総合的なサービスを提供しております。国内の集荷からBtoBおよびBtoCのエンドユーザーまで、一貫輸送が可能です。

日本郵便とトールグループのネットワークを活用し、航空輸送、海上輸送から最適な手段を提案いたします。煩雑な輸出入の通関手続きもお任せください。
輸入貨物に関しては、輸入後に日本郵便が提供するゆうパックなどのBtoC配送サービスもご利用可能です。その際は日本郵便の倉庫をご利用いただけるため、自社倉庫に納品する手間が省けます。
国際輸送と国内サービスの組み合わせにより、エンドユーザーへの配送まで一括で実現するのが最大の強みです。

国際物流を豊富に取り扱ってきた実績のある日本郵便とそのグループ会社に、ぜひご相談ください。

まとめ

インコタームズには、11種類の規則があり、売主と買主が費用や危険の負担をどこまで負うかを、明確に定めるために活用されています。

双方が取り扱う物量や、貿易の得手不得手により、責任範囲を決定し、合意を図ります。しかし貿易取引に慣れない方にとって、スムーズかつ最適な手配を行うことは、容易ではありません。

日本郵便とそのグループ会社であれば、日本郵便の国内配送サービスとJPロジスティクスのグローバルフォワーディングサービスによって、国際輸送を一括でお任せいただけます。国際輸送にお困りの際は、お気軽にお問い合わせください。

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