私たちの生活や企業活動にとって欠かせない物流。実は、スムーズな資源の再利用を実現するための物流として「リサイクル物流」が存在することをご存知ですか。
今回は、リサイクル物流の意義・重要性・ 種類についてわかりやすく解説。企業におけるリサイクル物流の導入事例もご紹介します。
リサイクル物流とは
リサイクル物流は「製品を消費者から回収して、再資源化するための物流」です。資源を回収し、再利用することで、製品を安全に処理しつつ、限りある資源を有効活用することができます。
顧客へ商品を届けた後に発生する物流で、静脈物流の1つに位置付けられます。
そもそも静脈物流とは
静脈物流は、「顧客から製造者の方向に流れる物流」です。製造者から顧客へ商品が届けられる通常の物流(動脈物流)とは、逆の流れになります。そんな静脈物流には、以下の3種類があります。
- 廃棄物流
- 返品物流
- 回収物流
リサイクルできない商品(廃棄物)を回収する物流です。
商品の汚破損・リコール・ユーザー側の注文ミス・返品無料サービスの利用などによって発生する、商品の返品を担う物流です。
リサイクルできる商品を回収する物流です。
上記の中で回収物流は、リサイクル物流とほぼ同じということができます。
ただし、回収物流は、回収した全商品がリサイクルされるわけではないのに対して、リサイクル物流は当初から「回収した商品のリサイクル」を目的としている点が異なります。
リサイクル物流の重要性
リサイクル物流は、循環型社会の実現に向けた国内外の関心の高まりと共に、重要性が増しています。
日本においては2000年に「循環型社会形成推進基本法」が公布され、リサイクルのさらなる推進が求められることとなりました。
特に、国内の最終処分場は処理能力の限界に近づいており、「令和3年版 環境・循環型社会・生物多様性白書(環境省)」では、2019年度末時点の最終処分場の残余年数の全国平均は「21.4年」と推計されています。
つまり、日本では、リサイクル推進などを通じたゴミの減少が、喫緊の課題となっているのです。
加えて2015年には、国連サミットにおいて持続可能な開発目標(SDGs)が掲げられ、リサイクルを含む持続可能な社会の実現が、世界共通の目標として共有されました。
法令を遵守した企業活動の実施・円滑なリサイクルの体制の整備・持続可能な社会の実現において、リサイクル物流は欠かせない役割となっています。
リサイクル物流の種類
リサイクル物流の回収物は、それぞれの特性に応じた規制が設けられています。具体的に、リサイクル物流には、規制に応じた以下のような種類があります。
- 家電リサイクル物流
- 容器包装リサイクル物流
- 廃パソコンリサイクル物流
家電リサイクル物流
家電リサイクル物流は、「家電リサイクル法」の対象物における物流です。具体的には、エアコン・冷蔵庫・洗濯機・ブラウン管テレビが対象物となります。
回収された対象物は、消費者から小売店・指定取引場所を経て、リサイクル処理プラントや家電メーカーへ運ばれます。
容器包装リサイクル物流
容器包装リサイクル物流は、「容器包装リサイクル法」の対象物における物流です。具体的には、ペットボトル・缶・ビン・紙やプラスチックの包装容器などが対象物となります。
各自治体のルールに則って消費者が分別・排出した対象物は、自治体が収集・選別・保管を実施。その後、公益財団法人 容器包装リサイクル協会に委託されたリサイクル事業者へ運ばれます。
廃パソコンリサイクル物流
廃パソコンリサイクル物流は、「資源有効利用促進法」の対象物の1つである、廃パソコンの物流です。
廃パソコンは、回収品倉庫を経てリユースセンター・リサイクルセンターに送られ、その後、資源・原料 リサイクル事業者で再利用が実施されます。
参照:経済産業省|パソコンのリサイクル(資源有効利用促進法)
リサイクル物流の導入事例
リサイクル物流は、多くの企業によって導入されています。
例えば、国内大手食品会社では、海洋汚染の原因となるプラスチックゴミの削減が企業のビジョンとなっていました。
そこで、劣化・破損したクレートを完全リサイクルする体制を整備するとともに、パレットの軽量化も実施することで、プラスチック使用量の大幅な削減を実現しました。
まとめ
リサイクル物流は静脈物流の1つで、資源回収と再利用を担います。国内で公布された循環型社会形成推進基本法の遵守、世界規模で共有されるSDGsの達成においても欠かせない物流です。
日本郵便も、環境に配慮した各種サービスを展開しています。例えば、溶解後の機密文章をリサイクルする「機密文書溶解サービス」などをご用意しています。
機密文書溶解サービス(法人のお客さま)
溶解後の機密文章をリサイクルする「機密文書溶解サービス」また、総合的な物流・配送支援が可能です。
例えば、回収物流の物流アウトソースの一例に、「短期間での倉庫移行と、静脈物流体制の構築」があります。
新倉庫を探していた定額制シェアリングサービス企業Aが、日本郵便の物流倉庫を活用し、回収物流モデル(保管・洗浄・配達・回収)の立ち上げを早期に実現しました。
【A社の課題】
- 新しい倉庫を探していた
- ビジネスモデルに合った倉庫・配達業務構築が急務
- 現行の商品管理システム、WMS(倉庫管理システム)が脆弱
【日本郵便の解決策】
- 東京都内の物流拠点を活用
- 在庫の倉庫間移動から業務を改善までサポート
- JP-WMS(日本郵便の倉庫管理システム)により出荷効率を向上
このようなサービスをご提供するほか、日本郵便は、家庭用プリンターから出た使用済カードリッジの回収・再資源化を行う「インクカートリッジ里帰りプロジェクト」※にプリンターメーカー4社とともに参加しています。
※里帰りプロジェクトとは、使用済みインクカートリッジの改修から再資源化までのリサイクル活動を推進するため、プリンターメーカーが共同で運営するプロジェクトです。ご家庭で使い終わったインクカートリッジは、回収箱は全国約3600の郵便局、および一部の自治体の施設などに設置してある里帰りプロジェクトの専用回収箱に入れてください。ます。回収後はメーカーごとに仕分けを行い、各メーカーが責任を持ってリサイクルします。
※プリンターメーカー4社の純正品が回収対象です。
里帰りプロジェクト:https://www.inksatogaeri.jp/index.html
ぜひ日本郵便をご利用ください。
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