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EC販売では、商品の返品に伴い「返品処理」が発生するケースがあります。返品処理の品質は、顧客満足度にも直結するため、丁寧かつ速やかな対応が必要です。
今回は 返品処理の概要・通信販売における返品率・返品処理が発生する主なケース・基本的なフロー・会計処理の方法などを解説。返品処理を適切に行うためのポイントもご紹介します。
返品処理とは「商品を返品する業務全体」のこと
返品処理とは、顧客が購入した商品が返品され、販売店が商品を受け取り、返金を行うまでの一連の業務です。
顧客の手に渡った商品はもちろん、商品が顧客に渡る前に返送されるケースも、返品処理と扱われる場合があります。
返品が増えると、スタッフの作業時間・人件費・返品商品の保管コストの増大などにより、ビジネスの効率性・収益性に悪影響を及ぼす可能性があります。
通信販売の商品の返品率は5~10%
株式会社エルテックスが2021年に実施した調査によれば、ECや通販の商品返品率は「5~10%」と回答した企業が最も多い結果となりました。
EC/通販の商品返品率は5~10%がボリュームゾーン。年商10-100億円未満の事業者では、5%以上の返品率が6割を占めており3段階の年商別で高返品率が目立つ。エルテックス 第17回通信販売調査レポート 「通信販売事業関与者の実態調査2021」
返品処理が発生する主なケース
返品処理が発生する主なケースは、以下の3パターンです。
- 販売者に原因がある場合
- 購入者に原因がある場合
- 配送時に原因がある場合
返品処理の発生原因は1つではないため、それぞれ確認していきましょう。
販売者に原因がある場合
消費者に落ち度がなく、販売者側のミスなどが原因で、返品処理が発生するケースです。
【主なケース】
- 誤発送
受注した商品ではなく、誤って別の商品を発送してしまうケースです。 - 宛名間違い
宛名を間違えて誤配送してしまうケースです。 -
故障・損傷
商品が不良品であった、傷や汚れがあったなど、問題のある商品をそのまま配送したケースです。
購入者に原因がある場合
購入者側に問題はないものの、 購入者側の都合で、返品処理が発生するケースです。
【主なケース】
-
イメージと違った
商品の実物を確認して注文できないため、通信販売で発生しやすいケースと考えられます。 -
サイズが合わなかった
「サイズの合わない洋服だった」「家に大きすぎるインテリアだった」など、これも実物の試着・確認などができないために、発生しやすいケースと考えられます。 -
結局使わなかった/気に入らなかった
特定商取引法では、返品特約がなければ8日以内まで商品の返品が可能です。そのため、大きな問題や原因がなく、返品に至るケースも考えられます。 -
保管期間を過ぎた
不在が続くなどして商品が届けられず、配送業者の保管期間が過ぎ、販売者へ商品が戻されるケースです。
配送時に原因がある場合
販売者・購入者に原因がなく、配送時のトラブルによって返金処理が発生するケースもあります。
【主なケース】
- 配送先の間違い
配送先を間違えて、指定日に間に合わなかったなどのケースです。 - 配送中の汚破損や商品の劣化
配送中に商品が破損・劣化、あるいは汚れるなどのケースです。 -
配送中の事故
配達中に事故が起きてしまい、商品を汚破損したり、希望日までに届けられないケースです。
返品処理の基本的なフロー
返品処理の基本的なフローは、以下の4ステップです。
ここからは、適切な返品処理を実現するために、各ステップのポイントと注意すべき点を理解していきましょう。
➀返品依頼の受付
返品処理はまず、購入者からの返品依頼(返品のリクエスト)を受け付けることから始まります。受付方法は、お問い合わせフォーム・メール・電話などです。返品依頼では、返品の理由を忘れずに確認します。
返品の原因が販売者や宅配業者にある場合は、ほとんどのケースで返品を受けると考えられます。
返品の理由や商品の状態を細かくヒアリングし、汚破損などがあれば、必要に応じて画像を送ってもらう方法もあります。その際、購入者に対して誠意を込めて謝罪することが望ましいでしょう。
また、購入者が返金と商品交換のどちらを希望するかについても、確認しておきましょう。 一方、返品の原因が購入者にある場合は、規約や社内の返品対応ルールなどに基づいて対応します。
返品期限が終了した商品や返品対象外の商品など、返品不可能な場合は、その旨を購入者に連絡してください。
➁購入者からの商品発送
返品依頼の承認後、購入者に商品を発送してもらいます。返品の原因が販売者や宅配業者にある場合は、購入者に負担をかけないよう、着払いにしてもらいましょう。返品の原因が購入者にある場合は、規約に応じて送料を購入者が負担するケースもあります。
商品にあらかじめ「返品についての書類」を添付し、返品時の梱包ほか返送先住所・依頼する運送業者などを明記しておくと、スムーズな返品が期待できます。
③返品商品の受取・検品
返品商品が到着したら、返品理由に沿って検品を行い、商品の状態などを確認します。その際、到着日時なども含めたデータを社内共有すると良いでしょう。
また、返品商品は、他の商品と混同しないように管理することも重要です。検品を倉庫で実施する場合は、返品商品の到着を事前に通知しておきましょう。
検品の結果 商品に問題がなければ、在庫補充の処理を実施します。
④返金・会計処理
最後に、返金手続きを行います。返金した場合は売り上げが相殺されるため、必要な会計処理(仕訳作業)も併せて実施してください。
購入者が商品交換を望むケースでは、在庫を確認した上で、交換商品を発送します。
返品処理を適切に行うためのポイント
返品処理が発生した場合、顧客との関係悪化を防ぎつつ、より速やかな対応や再発防止につなげることが重要です。
具体的には以下のポイントを踏まえて、返品処理を適切に実施しましょう。
- 返品依頼を受けたらスピーディーに対応する
- 返品の理由や商品の状態を正確に把握する
- 顧客への丁寧な対応で不安を払拭する
- 顧客に返品処理に関するレビューを依頼する
- 返品の理由やレビューをもとに改善策を立てる
- 返品処理の業務をマニュアル化する
返品依頼を受けたらスピーディーに対応する
返品の原因が販売者や宅配業者にある場合、顧客はすでに不満を抱えている可能性が考えられます。不満は時間の経過とともに大きくなると考えられるため、スピーディーな対応が必要です。
もちろん、購入者都合の返品であっても、対応に時間がかかると顧客満足度が下がるため、迅速に対応しましょう。
返品の理由や商品の状態を正確に把握する
返品に際しては、その理由や商品の状態を正確に把握することが必要です。
「商品に汚破損があった」「購入者の気持ちが変化した」など返品の理由はさまざまですが、その内容をしっかり把握することで、今後の返品を減らすヒントが得られる可能性があります。
また、再販するか・廃棄するかなど、処理方法が変わるため、商品の状態もしっかり把握しておきましょう。
顧客への丁寧な対応で不安を払拭する
EC販売は、対面による直接対応ではないため、顧客が一層不安を抱える可能性が考えられます。そのため、可能な限り丁寧かつ誠実に対応することが求められます。
また、こまめなコミュニケーションで、購入者側の不安払拭が期待できます。
返品処理のステータス・商品交換の希望の有無・返金の完了など、随時連絡を取り合うようにすると良いでしょう。
顧客に返品処理に関するレビューを依頼する
スムーズかつ万全に返品処理が完了したら、顧客にレビューを依頼しても良いでしょう。
返品時においても「こまめに連絡してくれた」「対応が丁寧だった」などのレビューがもらえれば、結果的にショップの信頼を高めることにもつながります。
レビューを通じて、返品時に適切な対応が期待できることがわかれば、他の顧客の安心にもつながり、 結果として売上アップも期待できます。
返品の理由やレビューをもとに改善策を立てる
返品の理由やレビューなど、顧客からのフィードバックは、返品率の低下などの改善に役立てます。
返品処理に受ける顧客からの不満点は随時改善し、また、返品そのものが発生しないように検品体制・商品の魅力・掲載画像や商品説明文の分かりやすさなどをトータルに見直します。
商品やサービスの改善点を見つけることで、返品率を下げ、顧客満足度の向上につなげることも期待できます。
返品処理の業務をマニュアル化する
返品にスピーディーに対応するためには、返品処理業務のマニュアル化が欠かせません。
これにより業務の効率化、業務品質のばらつきの改善などが期待できます。
また、マニュアル化により、返品処理時間の短縮化・従業員の業務負担軽減なども期待できますが「処理時間や従業員の負担があまり変わらない」という場合は、返品処理を効率化するサービスの利用を検討しても良いでしょう。
返品は日本郵便の「宛先ご指定便」がおすすめ
近年は、商品の返品・交換・レンタル商品の返送など、顧客が発送する機会も増えています。 荷物の発送個数が増加し、返品の個数が増えてきた際には、両者の手間やストレスにならないよう、発送作業や返品処理は簡単に行えることが望ましいです。
※サービスの実装に当たり、システム開発が必要となります。
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利用方法がシンプルで分かりやすく、顧客が返品処理をスムーズに行えます。
まとめ
返品処理は、顧客からの返品依頼の受付から返金・会計処理までの一連の業務を指します。返品率は、年商規模の大きな事業者ほど低く抑えている傾向です。
また返品処理は、販売者、購入者、配送時のいずれかの原因で発生します。返品依頼が発生した際は、スピーディーに対応します。返品の理由や商品の状態を正確に把握し、顧客への丁寧な対応で不安を払拭すると共に、返品の理由やレビューをもとに改善策を立てることも重要です。
なお、近年では顧客が商品を発送(返送)する機会も増えていますが、日本郵便の「宛先ご指定便」の利用で、顧客が簡単に返品を行えるようになります。サービスのご利用条件等は以下のお問合せフォームからお問合せください。
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