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ネットショップを開設するにあたって、大切なことは数多くありますが、なかでも重要なのが「コンセプトの設定」です。コンセプトとは、ネットショップを運営するうえでの指針であり、ユーザーに「どんなショップ」なのかを伝えるための軸になるものです。
コンセプトが設定されていないと、デザインやサイトの構成、発信内容などにおいて一貫性を持たせることが難しくなるため、売れないサイトになってしまいます。そこで今回の記事では、コンセプトの重要性や考え方、決め方などを解説します。コンセプトを明確にすることで、売上が大きく変わることもあるので、本記事でコンセプトについての理解を深めていきましょう。
ネットショップのコンセプトとは
コンセプトとは、「顧客にとってどういった価値提供を行うか」の方向性や考え方を指します。どのような顧客がどんなタイミングでどのように感じてほしいか、どのような行動を行ってほしいか、また、今保有する資源(店舗の立地等)を考える必要があります。
同じコンセプトでも提供するメニューや空間の仕様、立地、競合などによってターゲットが変わります。
飲食店で「くつろぎ空間」をコンセプトにする際も、ファミリー層をターゲットにする場合は4名の席にする・座敷を作る、一方で、ビジネスマンであれば1~2名席を多く配置し、顧客同士で目線が合わないようにするなどの工夫が必要です。
コンセプトの重要性
モノが溢れているこの時代において、ネットショップの開業でもコンセプトの設定が重要になります。その主な理由としては次のとおりです。
- 競合のショップとの差別化を図るため
- ショップの運営の指針にするため
同業他社が多い昨今では、商品による差別化を図るのは難しいのが現状です。しかし、他社とは異なるコンセプトを掲げ、特定のターゲットに対する価値提供やほかにはない購買体験を提供することで、差別化を図れるようになります。
また、ネットショップ開業の際には決めることが多くあります。コンセプトが明確になっていればショップデザインや商品紹介の文章、SNS運用における発信内容などの内容に一貫性を持たせやすくなります。ターゲットにおいても利用するメリットを感じ取りやすくなるため、コンセプトの明確化は売上にも大きく寄与する重要事項なのです。
コンセプトの考え方
コンセプトはネットショップを含むすべての施策の軸となるものです。各施策において一貫性を持たせ、差別化ポイントを創出するためには「どんな人に」、「どんな商品を」、「どのように」販売するのかを明確にする必要があります。
たとえばベビー用品ひとつとってもターゲットが「現役世代」なのか、「シニア世代」なのかによって、取り扱う商品のラインナップや売る方法が変わります。また、ターゲットが「現役世代」であっても、高所得世帯向けなのか、中間層向けなのかによっても同様のことが言えます。
まずどんな人を対象にするかを決め、商品を通して何を伝えたいのかを洗い出しましょう。すでに取り扱う商品が決まっているのであれば、どういった人をターゲットにするのか、そのうえでどのような方法で何を伝えれば効果的に情報を届けられるのかを考えます。特に伝えたいことは複数出てくるはずなので、そのなかからショップの軸となるものをひとつ選び、コンセプトを固めていきます。
ネットショップのコンセプトの決め方
ネットショップのコンセプトは次の手順で決めていきます。
まずどういった価値提供ができるのかを考えます。その後、提供できる価値と、ニーズが合致するターゲットの設定を行い、ターゲットのニーズを深掘りします。深掘りしたニーズに最適な商品ラインナップを揃えたうえで、ターゲットの興味・関心を引けるようなキャッチコピーを考えましょう。
➀ショップの価値を考える
コンセプトを決める理由の一つに「差別化」があります。他社と同じようなコンセプトを決めてしまっては差別化ができなくなるため、他社にはない自社ショップ独自の価値を見出さなくてはいけません。
ショップの価値を洗い出すためには競合他社のリサーチが必須です。取り扱い商品や価格帯、対象とするターゲット層など、細かくリサーチを行い、ライバル店よりも優れている点や独自ポイントをまとめます。
たとえばアパレル系のネットショップでオーガニック素材の商品が売りである場合は、化学繊維素材を使用する他社商品と比べて「皮膚への刺激が少ない」ため、敏感肌やアトピーの方でも心地良く着られるという差別化ポイントがあります。また、素材となる綿花などの栽培において、安全性の高い方法を用いるため、土壌汚染や水質汚染といった地球環境への負荷が少ない点も独自性のある価値と言えるでしょう。
➁具体的なペルソナを設定する
ペルソナとは、自社のネットショップを利用するであろう典型的なユーザー像のことです。ペルソナにより、具体的な一人のユーザー像を持っておくことで、ユーザーが自社ショップに求めるニーズが明確になります。そのニーズを徹底的に追求することで、よりわかりやすく訴求力の高いコンセプトを設定できます。たとえばオーガニック素材が売りのファッションブランドの場合、次のようなペルソナ像が浮かび上がります。
例)オーガニック素材が売りのファッションブランドの場合
ペルソナの項目 | 例 |
---|---|
性別 | 女性 |
年齢 | 40歳 |
居住地 | 東京都 |
年収 | 500万円(世帯年収:1,800万円) |
勤務先 | 幼児教室の講師 |
趣味・趣向 | オーガニックカフェ巡り、美術館巡り |
家族構成 | 夫・長女(13歳)・長男(10歳) |
ペルソナを決める際には必ずデータを用いるようにしましょう。想像で決めてしまうと存在しない人物をペルソナに設定することになるため、施策の確度が下がります。そのため、ペルソナ設定においては、まずターゲットに関するデータを収集し、そのデータを基に典型的なユーザー像になるように肉付けするのがセオリーです。
③ターゲットの不満や理想を考える
たとえばアパレルブランドのペルソナは「おしゃれになりたい」というニーズを持っていることが考えられます。しかし、これをこのままコンセプトにしても競合他社との差別化はできません。差別化を図るためにはニーズの裏にある不満を見つけ出し、その不満に対する理想をコンセプトに落とし込む必要があります。
例)アパレル系のネットショップの場合
ユーザーが持ちやすい不満 | 左記の不満から考えるユーザーの理想 |
---|---|
いつ着られる商品かわからない | 快適に着られる時期・温度・耐水性などの機能性を記載し、目安がわかる |
おしゃれな着方がわからない |
|
サイズがない | 高身長、大きめサイズも取り扱いもある |
手入れが面倒 | ウォッシャブルなど、手入れが簡単な商品もある |
この段階も単なる想像で進めてはいけません。SNSなどで、実際のユーザーが持つ商品そのものやネットショップでの購買体験に対する不満を探ったうえで、その不満を解決する理想の状態を用意する必要があります。
④独自性のある商品を揃える
独自性のある商品はそのまま競合他社との差別化ポイントになります。なぜなら「このお店にしかないもの」があれば、自社ショップを訪問する動機付けとなるからです。
ただし、独自性は必ずしも商品で出す必要はありません。たとえば商品の入手ルートや素材、価格帯など他社にないポイントを用意できればそれが自社ショップの独自性になります。
オーガニック素材が売りのアパレルブランドの場合は、オーガニック素材という時点でほかのアパレルブランドとの差が生まれます。さらにそこから、オーガニックブランドのなかで独自性を出すには素材の産地を日本に限定するなどの工夫が必要です。
⑤コンセプトを表すキャッチコピーを作る
ユーザーに一瞬でコンセプトを伝える手段として、すべての要素が出揃ったらキャッチコピーを作りましょう。オーガニック素材にこだわったアパレルブランドの場合は、次のようなキャッチコピーが考えられます。
キャッチコピーの例
洗濯機で洗える。肌質を選ばない日本製オーガニックの優しい洋服屋さん
まずはこれまでに洗い出した要素から共通する事項を抜き出します。次に抜き出した共通事項を誰でもわかる言葉に置き換え、肉付けしましょう。こうしてコンセプトを言語化すると、取り扱う商品ラインナップやSNSでの発信内容の方向性に迷うこともなくなってきます。
まとめ
ネットショップのコンセプトは、ショップデザインや取り扱う商品、運営など、その後のすべての工程に影響を与えます。そのため、ネットショップは綿密にコンセプトが設計されているかどうかが成功と失敗を別ける第一段階になります。
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