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「物流業務の人手が足りない」・「募集をかけているのにまったく応募者が集まらない」
人口減少に伴い労働力も目減りする昨今において、こうした悩みを抱える企業の方も多いのではないでしょうか。その原因は単純に募集方法が合っていないという可能性もあります。
今回は、物流作業スタッフの募集方法と募集がうまくいかない原因について解説します。さらに求人掲載におけるポイントにも言及しているので、うまくいかない原因の特定とともに募集方法の見直しの参考となれば幸いです。
物流作業スタッフの募集方法
物流現場の作業スタッフを募集する方法は、主に以下の6パターンがあります。
- 総合求人サイトへの掲載
- 求人検索エンジンへの掲載
- 工場・軽作業専門の求人サイトへの掲載
- ハローワーク(公共職業安定所)への掲載
- 求人情報誌(フリーペーパー)への掲載
- 自社ホームページやSNSでの募集
それぞれのサービスで特徴が異なるため、費用感や採用ターゲットなどの採用活動における条件によって利用すべきサービスも違ってきます。自社における条件と照らしあわせながら、本記事を読み進め、最適なサービスを選択しましょう。
総合求人サイトへの掲載
総合求人サイトとはエリアや業界、業種、雇用形態などを限定することなく、さまざまな求人情報を取り扱うサイトです。なかには派遣関連や女性向け、主婦向けなどあるジャンルの求人を専門に取り扱う特化型の求人サイトもあります。
求人掲載時にかかる料金形態は掲載サイズと掲載期間によって料金が決まる「掲載課金型」と、求職者からの応募があった、または採用が決まったら料金が発生する「成果報酬型」の2種類です。総合求人サイトに問い合わせたのち、打ち合わせで決まったプランに応じて求人が掲載されます。
メリット | デメリット |
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総合求人サイトのなかにはスカウト機能を備えているサイトがあります。この機能を活用すれば、求職者に直接アプローチが可能です。また、価格の高いプランを選べば、優先的に目立つように求人を掲載してくれます。目に付きやすくなれば、求職者からの応募機会も増えると予想できるため、作業スタッフも採用しやすくなるでしょう。
一方で広告掲載期間中は、閲覧数やクリック数などのデータをリアルタイムで確認できません。基本的に1ヶ月間のレポートという形でデータが届くため、効果検証が難しく、対応が後手になりがちです。また、プランにもよりますが原稿を改善するにあたって、修正に追加料金が発生する場合もあります。
さらに「掲載課金型」では、掲載サイズと掲載期間に応じて料金が決まるため、1人も採用できずに掲載期間が終了したとしても費用が発生するデメリットがあります。
■おすすめの企業
- 能動的に採用活動をしたい企業
- 費用をかけても良いから早めに採用を決めたい企業
求人検索エンジンへの掲載
求人検索エンジンとは、求人情報のみが表示される検索エンジンのことを言います。インターネット上に掲載されているさまざまな求人サイトから、検索ワードでヒットしたものを表示します。代表的なサービスには「Indeed」や「求人ボックス」などがあります。
求人検索エンジンへの出稿方法は2パターンです。ほかの求人サイトや企業サイトに掲載している求人情報を掲載してもらうか、求人検索エンジンに直接投稿するかです。前者の場合は検索エンジンロボットのクローリングにより、「求人情報」であることを認識してもらわなければならず、ページの構成などにおいて一定の条件を満たす必要があります。
メリット | デメリット |
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求人検索エンジンではさまざまな求人サイトの求人を横断的に確認できるため、求職者を集めやすい特徴があります。また、求人検索エンジンでは「物流作業 九州」といった検索ワードをキーに求人を表示するため、地方の採用に強い傾向があります。さらに求人検索エンジンの多くは無料で掲載できるため、採用コストを抑えやすいのもメリットです。
しかし、無料で掲載できるうえに利用する求職者も多いことから、登録している企業も多く、求人が埋もれやすいというデメリットがあります。また、毎日更新しないと表示回数が落ちたり、想定する検索ワードを間違うとターゲット層に表示されなかったりするため、採用マーケティングの知識も必要です。
クローリングによる掲載を希望する場合は、そもそも条件を満たしていないと読み込んでもらえないため、各サービスが提示する条件を満たせるように求人情報やページの変更が求められます。
■おすすめの企業
- 地方の企業
- 採用コストを抑えたい企業
工場・軽作業専門の求人サイトへの掲載
工場・軽作業系の求人に特化した求人サイトもあります。サイト自体のターゲットが工場・軽作業の求人を目的に求職活動を行っている人なので、職種による採用ミスマッチは起きづらいのが特徴です。料金形態は成果報酬型が多く、掲載は無料であることが一般的です。
メリット | デメリット |
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工場・軽作業系に絞って求職活動を行えることから、経験者の利用が多く、即戦力の採用が期待できます。その一方で、経験者だからこそすぐに見切りを付けられる可能性があり、採用してもすぐに離職されることも多いため、労働環境・条件の整備が必要です。なお、都心部を中心に展開しているサービスが多いため、地方での採用には向きません。
■おすすめの企業
- 経験者を採用したい企業
- 都心部で採用活動をしている企業
ハローワーク(公共職業安定所)への掲載
ハローワークとは、人材を募集する事業者に対して求人の掲載をはじめ、さまざまな無償サービスを提供する公的機関です。運営元は厚生労働省で、全国500ヶ所以上に設置されています。公的機関であるため、掲載や事務手数料、成果報酬などの費用は一切発生しません。
求人の掲載は大きくわけて「事業所情報の登録→求人情報の入力→ハローワークによる審査→求人情報の公開」の4ステップを踏みます。
メリット | デメリット |
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ハローワークを通して人材を採用した場合、条件に当てはまれば助成金を受け取れる可能性があります。
また、客層に地元住民が多いことから、地域密着型の採用活動が行いやすいのもハローワークのメリットです。
一方、公的機関であるがゆえに掲載までの手続きに時間がかかる傾向があります。即日、掲載できる求人サイトもあるため、スピード感においては期待できないでしょう。加えて掲載できる情報にも制限があります。決まったフォーマットでスペースも狭いため、要点をおさえつつ、自社の魅力を最大限に伝えられる文章を考えなければいけません。
■おすすめの企業
- 地元の人を採用したい企業
- 採用コストを抑えたい企業
求人情報誌(フリーペーパー)への掲載
求人情報誌とは、その名のとおり求人情報を集めて掲載した雑誌です。駅やコンビニ、本屋さんなどに設置されるため、地元の求職者にプローチするのに有効な手段です。
メリット | デメリット |
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求人情報誌は、対象エリアが細かく分かれており、そのエリアでしか配布されません。そのため、特定のエリアに絞った、地域密着型の採用活動が可能です。料金に関しては掲載サイズによって異なりますが、基本的には他媒体よりも安い金額で求人を掲載できます。
ただし、誌面であるため掲載できる情報はハローワークと同じく限定的です。さらに誌面に掲載されたら最後、情報の修正・変更はききません。
■おすすめの企業
- 地元の人を採用したい企業
- 採用コストを抑えたい企業
自社ホームページやSNSでの募集
自社のホームページに採用活動用のページを設けたり、SNSで募集をかけたりするのも有効な求人募集方法です。
メリット | デメリット |
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自社媒体なので、文字数や写真枚数などの制限を受けることがなく、ターゲットの興味・関心を引く魅力的なページを自由に制作できます。ホームページの一部として制作すれば、経営理念や事業内容などにも目を通してもらえる可能性が高いため、企業の魅力を伝えやすい方法でもあります。
SNSに関しては文字数・画像数に制限が出てきますが、複数の投稿に分けて企業の魅力を発信しつつ、求人活動を行える自由さは魅力的な点でしょう。ページの制作や投稿原稿・画像を用意できれば、即日掲載できるのもこの方法のメリットです。
一方で、自社を知らない層へのアプローチは難易度が高くなるため、知名度が高い企業向きの方法です。また、ホームページの場合は専用ページの制作に、SNSの場合は投稿の制作に時間とコストがかかる点はデメリットと言えます。
■おすすめの企業
- 知名度の高い企業
- 伝えたいことが多い企業
物流作業スタッフの募集が上手くいかない原因
物流作業スタッフの募集が上手くいかない場合は、次のようなことが原因として考えられます。
- 競合の募集条件と差がある(条件が厳しい)
- 作業へのネガティブなイメージを払拭できていない
求職者はできるだけ条件の良い職場を希望します。ただし、条件が良いと言っても求職者のライフスタイルによって、その条件は異なります。
また、自社イメージではなく、そもそも物流の作業内容や職場環境に対して、ネガティブなイメージを持っている人も多いのも採用が上手くいかない原因の一つと言えます。
競合の募集条件と差がある(条件が厳しい)
求職者は同じ物流作業であれば、より良い条件の募集に応募します。
応募が少ない場合に自社の求人を見直し・改善するのも大切なことですが、他社の求人に条件が劣っていては改善の効果は薄くなるでしょう。
そのため、特に自社の近隣に位置する競合他社の求人にも目を通して、条件を調整する必要があります。
物流作業スタッフの求人情報を掲載する際のポイント
物流作業スタッフを募集する求人情報を掲載する際には、次のようなポイントを意識しておきましょう。
- 職種名に具体的な作業内容を明記する
- 採用ターゲットに響くように伝え方を工夫する
- どの程度の体力・力作業を要するか記載する
- どんな環境で作業を行うか詳しく記載する
- 働き方や給与の支払い方法を明記する
ポイントは、求職者が働く未来を具体的に想像できる内容になっているかどうかです。どういった作業内容なのか、どの程度の体力を求められるのか、どういった環境で作業するのかなどを具体的に記載するようにしましょう。
職種名に具体的な作業内容を明記する
物流作業・軽作業と言っても、その内容は多岐に渡ります。軽作業のイメージも個人によって異なるため、単純に「軽作業」と記載するのではなく、下記のように作業内容が分かるように簡潔に表現しましょう。
【記載例】
- サプリの計量・梱包作業
- 化粧品の仕分け・シール貼り
求人が一覧で表示された際に、「製造作業スタッフ」や「軽作業」よりも上記のような表記の方が、具体性が高く、作業の内容を想像しやすいだけに応募へのハードルを下げられます。
採用ターゲットに響くように伝え方を工夫する
ただ募集条件を書き連ねるだけでは、ターゲットからの応募は期待できません。採用ターゲットからの応募を促すためには、ターゲットのライフスタイルや仕事に対する価値観などを想像したうえで、応募したいと思える文章を考えましょう。
【記載例】
- 1日3時間からOK!保育園のお迎えに合わせて時間を調整できます。
- 土日祝休み|日勤のみで時給は1,200円~やる気・能力に応じて時給アップの可能性もあります。
どの程度の体力・力作業を要するか記載する
物流作業にはさまざまな作業があり、力仕事はもちろん、軽作業もあります。しかし、一般的にはまだまだ「物流作業=力仕事・重労働」というイメージが根付いています。このイメージにより、たとえば女性でもできる仕事であっても女性からは嫌煙されて応募が来ないという事態に陥ります。
そのため、ターゲットが応募しやすいように、どの程度の体力・力作業を要するのかを記載するようにしましょう。
【記載例】
- ボールペンの検品作業です。座り仕事が8割で、力作業もほぼないので女性におすすめです。
- ポケットティッシュの箱詰め作業です。箱詰めした段ボールの積込・配送・積卸をお願いすることもあります。
どんな環境で作業を行うか詳しく記載する
働く環境は重要なポイントです。物流作業は倉庫で行うため、清潔感がないと無意識的に思っている人も多くいます。また、冷暖房がなく夏は汗だく、冬は凍えながら仕事をしなければいけないと考える人もいるでしょう。
取り扱う製品によってはそういう職場もあるでしょうが、特に温度管理が必要ない場合は冷暖房完備で働きやすい環境が整っていることもアピールしましょう。
【記載例】
- 冷暖房完備!清潔な環境で、作業できます。
- 空調完備の職場です。休憩室にはキッチン、給湯器、畳もあるので、ゆっくり休憩してしっかり働けます。
働き方や給与の支払い方法を明記する
求職者が応募する求人を決める際、働き方や給与の支払い方法が決め手となることも多々あります。たとえば、がっつり稼ぎたいと思っている単身者の場合は、「夜勤あり」「日払い・週払い」を狙って求人探しを行う可能性が高くなります。
ターゲットによって希望する条件が変わってくるため、ターゲットに合わせた働き方や給与の支払い方法の導入を検討し、求人情報にも落とし込みましょう。
【記載例】
- 【シフト制】夜勤あり・週払いOK!日払いの相談も可能です。
- 14時までなので、余裕を持って保育園のお迎え・夕飯の支度に取りかかれます。
物流作業はアウトソーシングの活用もおすすめ
物流スタッフが一向に集まらない場合は、アウトソーシングもおすすめです。
入荷後の検品から在庫管理、帳簿発行、梱包、出荷までの物流作業の全部または一部を外部に委託することで、自社での募集作業や業務負荷の軽減・効率化など、さまざまなメリットが見込めます。
日本郵便では物流業務のアウトソーシングサービスを提供しています。
自社倉庫での作業が追い付かず、物流業務の一部を委託したいというニーズにも、柔軟に対応いたします。
【日本郵便の物流ソリューションでできること】
物流業務に課題を抱えている企業の方はぜひお気軽にご相談ください。