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オンラインショッピングが当たり前になり、さらにSNSやECサイトの機能が充実してきた昨今では、有効な販売方法としてライブコマースが注目を集めはじめています。
ライブコマースとは簡単に言うと、オンライン販売とライブ配信を組み合わせた販売形態です。中国を中心に広まったこの手法は、大手企業をはじめとして日本でも徐々に導入する企業が増えています。
そこで今回はこれから流行する可能性が高いライブコマースについて、メリット・デメリット、成功のポイントなどを紹介します。
ライブコマースとは

ライブコマースとは、SNSやライブコマースプラットフォームなどで行うライブ配信のなかで、商品・サービスを紹介し、ユーザーの購買を促す販売形態です。
紹介者は、ショップスタッフが配信するタイプのものやインフルエンサーが配信するタイプのもの等があり、インフルエンサーには販売額に応じた報酬、固定金額の報酬、それら組み合わせによる報酬等が支払われます。
また、直近では、ライブコマースプラットフォーム事業者や広告代理店等が、ライブコマースを実施したいメーカーとインフルエンサーとのマッチングを行い、契約もライブコマースプラットフォーム事業者や広告代理店等とそれぞれで行うサービスもあります。(直接契約しない。)
ECサイトやショッピング機能を持つSNSなどによるオンラインショッピングが一般化し、利便性が高まった現代においても「実物を見られない」点は課題として残り続けます。
ECサイトやSNSに掲載されている画像と説明文だけでは、いまいち「サイズ・色味は合うのか」、「コーディネートをどう組めば良いのか」などの疑問が残るため、商品に魅力を感じていたとしても購買を諦めてしまう客層がいるのです。
ライブコマースはそうした課題を緩和する方法の一つとして注目を集めています。ショップスタッフがライブ配信を通じて商品を説明している最中に、視聴者はコメント機能を使って質問ができます。
そのため、ECサイトやSNSで見ていた商品に対する疑問を解消しやすく、購買を後押しするものです。
ライブコマースの市場規模

動画市場の成長に伴い、ライブコマースも日本を含む世界各国でその市場を拡大しています。特にオンラインショッピング大国である中国とアメリカでの成長率が高く、世界のライブコマース市場を牽引しています。
日本はやや遅れ気味ではありますが、新型コロナウイルスなどによりオンラインショッピングが注目を浴びたことで、ライブコマースへの関心も高まりつつあります。
【ライブコマースのビジネスモデル イメージ】

ライブコマースの動向整理(三菱UFJリサーチ&コンサルティング)| 資料1 ライブコマースの動向整理
ライブコマースのメリット

ライブコマースは事業者側、消費者側の双方にメリットがあります。それぞれの視点からのメリットを見ていきましょう。
事業者側のメリット
事業者側のメリットは次のとおりです。
- 動的に商品の魅力を伝えられる
- 双方向のコミュニケーションにより、ファン化を促しやすい
テキストと画像からなるECサイトなどよりも商品の魅力を伝えやすく、購入前の消費者の不安を解消しやすいというメリットがあります。
また、ライブコマースではコメント機能により、消費者である視聴者とコミュニケーションが可能。丁寧に対応することで従業員およびブランドに対する親近感を醸成できるため、ファン化を促しやすくなります。
消費者側のメリット
消費者側には次のようなメリットがあります。
- ECサイトでは分からない商品の詳細を知れる
- 自宅などにいながら接客体験が受けられる
- 必要以上に話をすることがない
ライブコマースでは、画像からは分からない角度の商品の見え方やディテールを確認できます。また、コメントで質問もできるので、リアルタイムに疑問を解消できる点において実店舗での接客を疑似体験できます。インターネットに接続できるデバイスと配信プラットフォームがあれば、自宅やカフェなどどこからでもライブコマースに参加できるのも大きなメリットです。
実店舗では会話を盛り上げようと、ときにプライベートな質問をされることもあります。またはしつこく商品をおすすめされることもあるでしょう。しかし、ライブコマースであれば、こうしたストレスを受けることなく、かつ疑問点はコメントで解消しながらショッピングを楽しめます。
ライブコマースのデメリット

次にライブコマースのデメリットを、メリットと同様に事業者・消費者視点で見ていきましょう。
事業者側のデメリット
事業者側におけるライブコマースのデメリットは次のとおりです。
- 視聴者を集められないと効果がない
- 事前準備・戦略を練る手間がかかる
- 場合によってはネガティブイメージを与えてしまう
消費者庁が インターネット消費者取引連絡会 で掲載している 「ライブコマースの動向整理(三菱UFJリサーチ&コンサルティング)」 によると、2019年7月実施の調査で、ライブコマースについて「内容も含めてよく知っている」のは4.1%。「聞いたことはある」を含めた認知度は21.9%でした。
ライブコマースは視聴者ありきの販売形態です。視聴者がいて、かつ双方向のコミュニケーションが発生することで購買に繋がりやすくなります。そのため、視聴者がライブコマースを知らない、視聴者を集められないとライブコマースはやる意味を成しません。
視聴者を集めるためにはSNS等でフォロワーを増やすのはもちろん、事前にライブ配信を行う日時を告知する必要があります。
また、ライブコマースの目的はファン化や売上アップであって、ライブ配信ではありません。そのため、ライブ配信によってファン化・売上アップを狙える好感度の高い人材の選定や商品選び、企画の策定といった事前準備・戦略が必須です。
さらにライブ中に配信担当者が失言をしたり、商品知識が不足してまごついたりすると、イメージダウンによる顧客の離反を招きかねません。そのため、配信を担当する人材の選定は慎重に行わなければいけません。
消費者側のデメリット
消費者側には次のようなデメリットがあります。
- 実物を手に取って見られない
- 配信を見逃す可能性がある
ECサイトよりは商品の詳細を確認できるものの、ライブコマースでも実物を手に取ることはできません。色味、丈感、素材感などの確認ができないため、購入者にマッチするかどうかはECサイト同様、ある種の賭けであることには変わりありません。
また、実店舗の場合は、開店時間内であれば消費者の都合の良い時間帯に来店できます。しかし、ライブコマースの場合は配信時間が決まっていることが多いため、消費者は都合がつかずに見逃す可能性もあるでしょう。
事業者側がアーカイブを残していれば消費者の都合の良い時間に閲覧できますが、視聴者数を増やすためにアーカイブしないこともしばしばあります。配信を見てから購入するかどうかを決めようと思っていた消費者にとって、商品を知るチャンスを失うことになります。
ライブコマースに向いている業種

ライブコマースは「販売業」と相性が抜群です。商品ジャンルとしては、次のようなものがおすすめです。
- アパレル
- 家具・インテリア
- コスメ用品
- 食品
ライブコマースでは実物こそ試せませんが、動画により視覚と聴覚で商品情報を補えるため、上記のようなジャンルの販売に向いています。一方で、食品のなかでも配信中に効果・効能が分かりづらい健康食品やダイエット食品などは、ライブコマース向きのジャンルではないと言えます。
ライブコマースを成功させるためのポイント

ライブコマースを成功させるには、次のポイントを意識する必要があります。
- 視聴者とのコミュニケーションが大事
- 視聴者を飽きさせないコンテンツ作りをする
- 配信時間や頻度を工夫する
- ブランドイメージにあった人材を起用する
簡単にいえば、ライブ配信の主軸を配信者ではなく、視聴者に置くということです。視聴者が商品を知り、購入するかどうかを判断するため、視聴者が欲しい情報を提供することを意識しましょう。
視聴者とのコミュニケーションが大事
ライブコマースがECサイトや動画投稿と一線を画すポイントが、視聴者と双方向でのコミュニケーションを図れる点です。ただ単に動画で商品の説明を行うだけなのであれば、ECサイトと動画投稿で充分です。しかし、より詳しい情報を求めてライブ配信を視聴しにくる視聴者に対して同じことをしていては意味がありません。
コメントに寄せられた質問に回答し、視聴者の疑問を解決することで、信頼を高めファン化を促せます。その結果として売上がついてくるので、ライブコマースでは積極的に視聴者とコミュニケーションを図りましょう。
視聴者を飽きさせないコンテンツ作りをする
ライブコマースは事業者にとっては営業手段ですが、視聴者にとっては商品を知る場であると同時にエンターテイメントとしての意味合いも持ちます。そのため、配信の内容がつまらないと離脱する可能性が高くなります。
先にも触れているとおり、ライブコマースでの売上は視聴者ありきです。視聴者数の母体が少なければ少ないほど、購入してくれる人数も減少することが予想されるため、視聴維持率を意識した飽きないコンテンツ作りをする必要があります。
配信時間や頻度を工夫する
ライブコマースにおけるライブ配信の時間帯は、ターゲットに合わせて設定します。たとえば小さなお子さんを持つママ層をターゲットに据えた商品のライブコマースを行う場合、家事や育児で慌ただしく過ごす朝・夕の時間帯は避けるのがベターです。また、専業主婦の場合は平日の日中が、パートやフルタイムで働くママの場合は家事・育児が一段落して自分の時間が取れる21時以降が狙い目でしょう。
時間と合わせて注意しておきたいのが、配信の頻度です。毎日配信すると担当者の業務負荷が増えるうえに、視聴者にはしつこいイメージを与えかねません。週1~2回程度の頻度が一般的なので、キャンペーン中など、特別な理由がない限り配信の頻度は変えずに曜日や時間帯をずらし、視聴者を集めやすいタイミングを探りましょう。
ブランドイメージにあった人材を起用する
ライブコマースを実施する際に起用する人材には「インフルエンサー」か、「スタッフ」の2パターンが考えられます。ライブコマースでは有名なインフルエンサーを起用したからといって、売れるわけではありません。大切なのは次のポイントです。
- ブランドイメージにあっているか
- 商品知識が豊富か
- コミュニケーション能力があるか
- 顧客理解があるか
インフルエンサーであったとしても上記の条件を満たしていれば、ライブコマースの人材としておすすめできます。しかし、商品知識や顧客理解が深いスタッフの方がライブコマースには最適な人材が多いと言えるでしょう。
まとめ
日本国内のライブコマースの市場規模はまだまだ大きくありませんが、アパレルなどを中心にライブコマースを導入する企業は増えています。また、ライブコマースではECサイトと異なり、配信スタッフの人柄によってファンを作ることも可能です。ユニークでトークがうまい人材や専門性の高い人材などを起用し、内容を充実させることでライブ配信がSNSで話題になれば、潜在顧客の獲得も可能でしょう。
上手く活用できれば売上を大きく伸ばせるので、特に知名度で劣る中小企業におすすめの戦略です。顧客との距離感を一気に縮められることにより、売上の増大も期待できるので、これを機にライブコマースの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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