切手特集:ついに完結 和の食文化シリーズ
2015年からスタートし、SNSを中心に話題となった「和の食文化シリーズ」がついにファイナル。
最終回となる第4集のテーマは「和菓子」。
歴代シリーズの切手と合わせて「和の食文化シリーズ 第4集」の魅力をご紹介します。
※2019年10月1日(火)から郵便料金が変わりました。
新料金に対応する切手類は、こちらをご覧ください。
※ご紹介している各種切手については、現在取り扱いしていない商品も含まれておりますのでご了承ください。
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菊は秋の代表花。練りきり(※1)にはさみで切り込みを入れ、丁寧に花弁を作っていく「はさみ菊」を表しました。職人技が光る逸品で、菊の芳香が漂ってくるようです。お気に入りの皿にのせ、黒文字(※2)を使ってゆっくりと味わいたくなります。
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餡玉のまわりにそぼろ状の餡を箸でつけた菓子を、「きんとん」と呼びます。薄紅で桜、緑で松、黄で菜の花など、そぼろの色によって、四季折々の植物が見立てられます。今回の赤と黄は、色鮮やかな紅葉を思わせるもの。「照紅葉」「錦秋」などの菓銘が思い浮かびます。
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有平糖(※3)で「しめじ」、雲平(※4)で「松葉」、色づいた「楓」や「銀杏」を、落雁(※5)で小さな「ぎんなん」をかたどりました。風によって寄せ集められたような風情から、こうした取り合わせは「吹き寄せ」と呼ばれます。箕みに盛って、景色を楽しみたくなります。
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餡を包んだ二層のこなし生地を松の形にし、雪に見立てて氷餅(※6)をまぶしました。松は常緑であることから、古来、長寿の象徴として親しまれています。竹や梅の意匠の菓子と合わせ、新年や婚礼など、祝いの席に用いるのもおすすめでしょう。
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つくね芋をすって生地に混ぜて作る、風味豊かな薯蕷(じょうよ)饅頭です。井桁と梅鉢の焼印を押し、釉に見立てた緑色を配し、焼き物の織部焼の特徴を表現しています。見立てのおもしろさに、作り手の遊び心が感じられるのではないでしょうか。
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正月の菓子の定番と言えるでしょう。宮中のおせち料理のひとつ「菱葩」が原形で、甘く煮た牛蒡と味噌餡の組み合わせが珍しいものです。味噌は雑煮、牛蒡は正月に食べたという押鮎(※7)に見立てていると伝わります。
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1~2月にはあでやかな紅椿や清楚な白椿のほか、様々な椿の花が練りきりやういろう(※8)などで形づくられます。花びらや葉だけでなく、花芯の表現にも注目したいものです。けしの実やあら粉をつけるなど、職人の工夫を感じさせます。
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春の喜びを謳うような干菓子の数々です。「流水」と「蝶」は雲平で、「蕨」や「土筆」は木型を使った落雁で表しました。紅白の縞模様の千代結びは有平糖で、お祝い事にも喜ばれます。ひな祭りや野遊びを思いながら器に並べた後は、お抹茶を用意して一息つきましょう。
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花の形を模すだけでなく、抽象的に表現するのも和菓子の魅力です。中央に餡を置いたういろう生地を四方から折りたたんだこの意匠は、開花前の梅をイメージしており、「未開紅」の名がつくことが多いものです。つぼみを意識し、内側を濃い赤にしました。
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日本人が愛してやまない桜の花。咲き始めから満開になって散っていく姿までが、菓子に意匠化されます。ここでは木型でかたどった、こなし(※9)製の美しい桜の花を表しました。木型が山桜の木で作られることを思うと、桜の菓子が一層愛おしく感じられます。
- ※1 練りきり:餡に求肥や山芋などをつなぎとして入れ、練りあげたもの。
- ※2 黒文字:クロモジで作るようじの一種。
- ※3 有平糖:飴の一種。
- ※4 雲平:もち米を加工した寒梅粉と砂糖で作る細工物。生砂糖ともいう。
- ※5 落雁:砂糖に寒梅粉などを混ぜ、木型に詰めて打ち出したもの。
- ※6 氷餅:もち米を加工した粉のこと。
- ※7 押鮎:塩漬けした鮎のこと。
- ※8 ういろう:砂糖を煮とかし、上新粉などを混ぜ、蒸したもの。
- ※9 こなし:餡に小麦粉、寒梅粉を混ぜて蒸し、揉んだもの。